【リロケーション】とは?メリットデメリット・流れを解説
目次
はじめに
転勤や海外赴任などで家を離れる場合でも、リロケーションを活用すれば防犯面や収入面などでさまざまなメリットが得られます。
ただし、リロケーションの仕組みを適切に理解していないと、思っていなかったようなトラブルに見舞われる可能性もあります。
本記事では、リロケーションの仕組みやメリット・デメリット、進め方について解説します。また、リロケーションと通常の賃貸の違いについてもご紹介します。
リロケーションを始めようと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
リロケーションとは?
リロケーション(Relocation)とは、転勤や海外赴任などで一定期間家を空ける場合に、留守宅を賃貸に出すことです。
リロケーションでは、一般的に数年が経過したら再度自宅に戻ることを前提にしています。自宅に住んでいなくても、家を所有している場合には固定資産税などの負担は継続します。リロケーションを実施すれば、自宅を不在にする期間も空き家にすることなく賃貸収入を得ることが可能です。
リロケーションと賃貸の違いは?
リロケーションと賃貸では、賃貸契約の種類に違いがあります。
一般的な賃貸の契約形態は「普通借家契約」であり、契約を締結したら貸主は正当な事由がなければ契約終了とすることができません。普通借家契約では、借主は3ヶ月前までに申し入れすれば、契約を解除することができます。
一方、リロケーションの契約形態は「定期借家契約」であり、借主は原則として契約期間の満了後は更新できません。貸主は契約期間が1年以上の場合、期間満了の半年から1年前までに「期間満了による契約終了」の旨を借主に通知する必要があります。これを怠ると、借主は同条件で期間満了後も住み続けることができるため注意が必要です。
リロケーションのメリット
リロケーションを行うことで、先述したように自宅を一定期間不在にする場合でも家を有効活用できます。
ここでは、リロケーションのメリットについて詳しくご紹介します。
家を良い状態で保つことができる
家を空き家にしておくと、湿気によるカビやダニの発生に伴い建物が痛む原因になる可能性があります。また、自宅の設備を長期間管理せずに放置していると、メンテナンスができず劣化していく恐れがあります。
一方、リロケーションにより賃貸に出して他人に住んでもらうことで、十分な換気ができます。また、借主や管理会社により、定期的に建物や住宅設備などをメンテナンスしてもらうことで、家の資産価値を保つことが可能です。
このように、リロケーションを実施することで家を良い状態で維持することができます。
家賃収入が入る可能性がある
自宅を不在にしている間も、ローンや税金の支払は継続しなければなりません。リロケーションを実施して家賃収入を得ることで、ローンや税金の支払、転勤や海外赴任時における生活費などに充てることができます。
このように、リロケーションを行って自宅を他人に貸し出すことで、家賃収入が得られるというメリットがあります。
防犯面の不安を解消できる
自宅を長期間空き家にしておくと、空き巣に入られる恐れがあります。また、転勤や海外赴任により遠方に移ると、地震や火災、台風などの災害時に家の状況をすぐに把握することができないこともあります。
リロケーションでは賃貸で他人に住んでもらえるため、誰もいない状況を解消できます。たとえ入居者がいない期間があったとしても、管理会社がメンテナンスを行うので、防犯面でも安心と言えます。
リロケーションのデメリット
リロケーションには、メリットだけではなくデメリットもあります。デメリットを正しく理解することで、リロケーションを上手く活用することが可能です。
ここでは、リロケーションのデメリットについて詳しくご紹介します。
住宅ローン控除を受けられない
リロケーションを実施している期間は賃貸物件として扱われるため、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を適用できない場合があります。住宅ローン控除を利用することで、所得税や住民税の納税額を減らすことが可能です。
このように、住宅ローンを組んで家を購入した場合には、リロケーションの期間中は住宅ローン控除の対象外になる可能性があります。しかし、リロケーションの期間が満了した際には住宅ローン控除を利用できます。
そのため、税金と家賃収入のそれぞれの面からリロケーションを実施するかどうかを検討することが大切です。
家賃収入が入らない可能性もある
リロケーションでは、先述したように定期借家契約になるので契約期間が決められています。そのため、通常の物件よりも賃料が安く設定される可能性があり、思ったような家賃収入が得られないこともあります。
なお、契約期間が短いほど賃料は安く設定される可能性があります。また、物件の立地が良好など、需要が高ければ相場のように賃料は低くならないこともあるかもしれません。
認知度が低いため入居者が見つかりづらい
リロケーション制度を知らない方も多く認知度が低いことから、入居者が見つかりづらいというデメリットがあります。
入居者が見つからない場合には賃料を下げる必要があり、通常の賃貸のような家賃収入を得られないことがあります。そのため、空き家にしておく場合とリロケーションを行う場合のメリット・デメリットを比較して、どちらにするのかを検討することが重要です。
リロケーションはどのような流れで始める?
リロケーションの仕組みやメリット・デメリットを把握できたら、リロケーションの流れ・進め方について理解しておくことが大切です。
ここでは、リロケーションはどのような流れで進めるのかを具体的に解説します。
管理会社を選ぶ
リロケーションを実施すると決めたら、まずは管理会社選びを行います。管理会社を利用しないで個人で行う方法もありますが、負担が大きいため一般的には管理会社に委託するのがおすすめです。
管理会社によって、業務範囲や料金・得意分野などが異なるため、委託先は慎重に検討することが大切です。
管理会社選びを行う際には、実績や料金など、複数の会社のサービス内容を比較することが推奨されます。
必要な契約を締結する
リロケーションを実施する際の管理会社が定まったら、管理会社と管理業務委託契約を締結します。後からトラブルが生じないよう、契約を結ぶ前に確認しておきたいことをリストなどにまとめ、管理会社にヒアリングしておくことが大切です。
条件を決定する
管理業務委託契約の締結後は、実際にリロケーションを実施するうえでの契約期間や賃料、その他条件などの取り決めを行います。
リロケーションでは契約期間が決まっているので、一般的に賃料は相場よりも低く設定します。しかし、利便性が高い場合や物件の設備が良い場合には、相場と同程度でも借主が見つかる可能性があります。
そのため、管理会社や専門家に相談しながら、適切な条件を一つひとつ設定していくことが大切です。
入居者を募集する
管理会社が決まり、賃貸するうえでの条件が定まったら実際に入居者を募集します。
一般的な賃貸と同様で、リロケーションでも入居者がいなければ基本的には家賃収入は得られません。そのため、入居者の募集は重要な業務の一つであり、管理会社を決める際のポイントと言えます。
これまでの入居者の実績や、賃貸物件サイトの活用の仕方などを管理会社を選ぶときに確認しておくことが重要です。
応募が来たら審査をして貸し出しをする
入居者を募集し実際に応募が来たら、管理会社が希望者の審査を行います。審査が無事完了したら、管理会社と希望者との間で賃貸借契約を締結し、いよいよリロケーションが始まります。
リロケーションが開始すると、契約に従って決まった期日に家賃収入が支払われます。なお、契約によっては修繕費などの負担が必要な場合もあるため、契約条件はきちんと理解しておくことが大切です。
まとめ
リロケーションとは、留守宅を賃貸に出して家賃収入を得ることです。リロケーションは「定期借家契約」に該当するため、期限が定められた契約になります。
リロケーションにより家を良い状態で保てたり、防犯面の不安を解消したりすることが可能です。ただし、入居者が見つかりづらいことから、思ったような家賃収入を得られないこともあります。
リロケーションを実施する場合は、管理会社選びが重要になります。複数の会社をさまざまな観点から比較して、ニーズにあった管理会社に委託することが大切です。