2023.03.28

戸建てを貸す際にローンが残っている場合は?対処法と注意点を解説

はじめに

住宅ローン返済中の家であっても、条件次第では賃貸利用が可能なケースもあります。ローン中の家を貸し出すには一定の手続きが必要な上、費用負担が発生する場合もあります。

賃貸利用によって家賃収入が得られるのは魅力的ですが、人によっては向いていない場合もあるでしょう。ローン返済中の家を貸し出す方法や費用負担についての理解を深めて、どのような人に適しているのか知るところから始めてみてください。

ローン返済中の家を貸し出すことはできる?

ローンにはさまざまな種類があり、家に関係しているのは住宅ローンだけではありません。利用しているローンの種類によって、家の貸し出しが可能であるかどうかは異なります。

まずは賃貸運用ができるかどうか、きちんと確認しておきましょう。

ローンの借り換え手続きが必要

住宅ローン返済中の家を貸し出すには、賃貸経営でも利用可能な賃貸用のローンへ借り換え手続きが必要です。

基本的に住宅ローンは、契約者が住宅に住むことを前提とした契約になっています。そのため、契約者が住むことを条件とした住宅ローンのままでは家を貸し出すことはできません。

現在住宅ローン契約中の家を貸し出すのであれば、事業用の賃貸ローンへと切り替えましょう。ローン返済中に家を貸したいのなら、まず金融機関に相談してください。専門家に相談すること で、どのようなローンを組めば良いのか教えてもらうことも可能です。

賃貸経営に適したローンを見つけるためにも、金融機関に相談してから始めることをおすすめします。

基本的に貸し出すことはできない

基本的に、住宅ローンを利用している間は家を貸し出すことはできません。住宅ローンとは、契約者が住むことを前提とした契約だからです。

契約者以外が住むことになる賃貸経営では、住宅 ローンの利用条件が満たせなくなってしまいます。つまり住宅ローン返済中の家の賃貸は、契約違反になってしまうのです。契約者とは別の人が入居者になるとその時点で契約違反と見なされ、違約金が発生したり、ローン残債の一括返済を求められたりする場合もあります。

住宅ローンを組んだからには、支払いなどのルールには従わなければなりません。契約違反となってしまわないためにも、まずは住宅ローンの基本的なルールと併用法について確認しておきましょう。

ローン返済中に戸建ての賃貸が認められるかもしれないケース

ローン返済中の戸建てについて、基本的には貸し出すことは認められません。しかし、場合によっては賃貸が認められるケースもあります。

ここではそれぞれのケースについて解説します。

転勤が原因の場合

ローン返済中に戸建ての賃貸が認められるかもしれないケースとして、転勤などの特別な事情がある場合が考えられます。こちらのケースでは契約者以外が住む場合でも、住宅ローンを継続できる可能性が出てきます。

借入先の銀行によっては、住みたいのに住めないというやむをえない事情を考慮して、住宅ローン返済中の賃貸を認めているケースがあるのです。

住宅ローンを継続して利用できるかどうかは、それぞれの事情によっても異なります。ただし転勤で家を貸す場合は、住宅ローン控除が受けられなくなります。その他デメリットが多々あるというのも否めません。

賃貸経営に迷った際は、まず金融機関に相談してみてください。

全体の50%未満を貸す場合

家の全部を貸し出すだけではなく、一部を賃貸として残りの部分で所有者が暮らすことも可能です。このように自宅と賃貸を両立させた物件のことを、賃貸併用住宅といいます。

賃貸併用住宅に関しては、自宅とする部分が床面積の50%という決まりがあります。ですが自宅部分については、従来通り住宅ローンの利用が可能です。残りの賃貸部分には住宅ローンが適用できないので、借り入れが必要なら別途賃貸用のローンを組むことになります。

ただし住宅ローンと事業用ローンを併用する場合は、ダブルローンとなってしまって返済が苦しくなりやすいので注意してください。

ローンを併用する際にはきちんと完済できるか計画を立てて、 いくら借り入れるか慎重に決めましょう。

ローン返済中の戸建てを貸す場合の手続き

ローン返済中であっても、条件次第では賃貸にすることが可能です。そしてその条件とは、住宅ローンを組んだ相手によっても異なります。

ここではローン返済中の戸建てを貸し出す場合の手続きについて、住宅金融支援機構と民間の金融機関の場合に分けて解説します。

住宅金融支援機構の場合

住宅金融支援機構の住宅ローンを利用している場合に戸建てを貸すには、民間の金融機関へとローンを切り替えなければなりません。

住宅金融支援機構の方が民間の金融機関より金利が低いケースが多いため、ローンの切り替えによって金利が高くなる可能性があることは理解しておきましょう。

もしフラット35のローンを利用している場合、転勤などの事情がある場合に限りローン返済中でも家を貸せるケースがあります。特例的に認められる場合は、住所変更の手続きのみで賃貸利用が可能です。他のローンと比べると、手続きの手間も少なくて済みます。

民間金融機関の場合

民間の金融機関で住宅ローンを組んでいる場合は、ローンの種類を変えるのが一般的です。大抵は現行の住宅ローンから、賃貸住宅向けのローンへと変更することになり ます。

この時に大きな違いとなるのが、金利の問題です。住宅ローンは家に住むためのローンなので、 金利が優遇されています。しかし賃貸住宅ローンは投資用不動産という扱いになってしまうため、金利が高くなるのです。

そのため、返済費用には大きな差が出ます。もし賃貸にすることを考えているのであれば、金利の違いについてもよく見比べて検討してください。

ローン返済中の戸建てを貸す際に発生する負担

ローン返済中の戸建てを貸し出すことで、さまざまな負担が発生します。金銭的なデメリットが生じる可能性もあるので、負担の発生には注意が必要です。

どのような負担が生じるのかを知った上で、家を貸し出すべきか考えてみてください。

住宅ローン控除の適用が外れる

家を賃貸に出した場合は、住宅ローン控除を利用することはできません。住居用の物件に住み続けていることが、住宅ローン控除の適用要件の一つとなっているからです。

当たり前の話ではありますが、家を第三者に貸し出した時点で住居用の物件ではなくなってしまいます。そのため、住宅ローン控除の適用要件から外れてしまうのです。

家を賃貸に出せば、控除期間中であっても住宅ローン控除による減税効果を得られなくなります。

切り替えにあたって手数料が発生する

住宅ローンを借り換える際は、さまざまな諸費用についても考慮しなければなりません。融資手数料や印紙税、抵当権設定登記費用、事務手数料など、ローンの借り換えには諸費用の発生がつきものなのです。

それぞれの金額自体はそこまで高くなかったとしても、合計するとまとまった費用が必要になるケースもあるでしょう。余裕を持って借り換えを行うためには、あらかじめ諸費用分の金額を用意しておく必要があります。

空室リスクが高まる

ローン返済中に家を貸し出す場合には、空室リスクへの対策も必要です。

戸建てを賃貸住宅にしても入居者が決まらなければ、家賃収入を得ることができません。その上、賃貸利用するタイミングではさまざまな費用がかかります。家賃収入が得られないとなると、ローンの返済も苦しくなってしまうでしょう。

なお空室リスクを回避するには、管理会社に入居者の募集などを委託するのがおすすめです。プロに依頼することで、空室リスクも低減できます。

返済総額が増える

基本的に住宅ローンよりも賃貸ローンの方が金利が高く設定されているため、金利の上昇によって返済総額が増えてしまいます。最初に予定していた金額と比べて、返済しなければいけない金額が増えてしまったというケースもあり得るでしょう。

返済総額が増えるということは、月々の返済額についても増加するということです。そのため、毎月の出費が増えてしまうことも理解しておいてください。

まとめ

ローン返済中の家について、基本的に貸し出すことはできません。しかし、中には賃貸運用が認められるケースもあります。

ローン返済中の家を貸し出す際には、さまざまな負担が発生しま す。金銭的なデメリットが生じる場合もあるので、ローン返済中の戸建てを貸し出したい方はしっかりと検討を行うことをおすすめします。

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