【マンションが老朽化】した際の対処法と起こり得る問題を解説
目次
はじめに
日本でマンションが建設されるようになってから60年以上もの月日が流れ、マンションの老朽化が問題視されるようになりました。
マンションは、戸数の規模が大きければ大きいほど設備が充実している傾向にあり、それに伴って建物や設備の故障・劣化も目立ちます。
本記事では、老朽化したマンションのデメリットと売却の可否、対策方法と注意点について解説します。築古マンションを所有している方や、中古マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
マンションが老朽化することでどのような問題が起こるのか
● 設備が故障する(劣化する)
● 空室割合が増加する
● 管理費と修繕費も増加する
● マンションの資産価値も落ちる
マンションが劣化することにより、上記のような問題が起こることが考えられます。
設備が故障する(劣化する)
マンションが老朽化すると、共用部および専有部の劣化が進み設備が故障するおそれがあります。共用部で言えば、エレベーター・機械式駐車場・外壁・防水・水道設備等です。
共用部の設備が故障した際は、その都度修繕積立金を使って修理されるほか、10数年に1回行われる大規模修繕で補修されるため、故障・劣化したまま放置されることはありません。
しかし、共用部の仕様や設備が年々劣化するため、新築マンションと比較すると共用部の価値が下がっていくことは確実です。大規模修繕は、修繕計画に沿って何回も修理が重ねられるとは 言え、建物や設備が一新されるわけではないため、その分建物が傷みやすくなるほか、設備も劣化しやすくなります。
空室割合が増加する
当たり前のことですが、マンションが老朽化すると空室割合が増加する傾向にあります。
老朽化しても管理が行き届いたマンションであれば資産価値が維持でき、空室率も抑えられますが、老朽化しているのに修繕もされず管理がずさんな状態であれば、資産価値が下落して空室率が高くなるのです。
管理費と修繕費も増加する
分譲マンションであれば、新築を購入する時点で当面の管理費と修繕費が定められています。もちろん、新築や築浅物件であれば管理費も修繕費も安く抑えられますが、建物が劣化するにつれ管理費も修繕費も高くなっていくのです。
マンションを購入・賃借する場合、月々のローン支払いや賃料に加えて管理費・修繕費も考慮されるため、管理費・修繕費が高くなればなるほどその部屋を売却・賃貸に出しづらくなります。
マンションの資産価値も落ちる
建物の老朽化は、資産価値へダイレクトに影響します。マンションは戸建てと違い、投資用・住み替え前提で購入されることも多く、資産価値が変化しづらいことがメリットです。 そのため、マンションが老朽化すると資産価値に影響を及ぼし、売却・転貸しづらくなるという致命傷を負うことになります。
築古マンションの場合は、フルリノベーションすることで高値で売却できます。 しかし、それでも共用部が劣化していたり管理状態が悪かったりすると、資産価値に影響が出 てしまい売却価格が下がってしまうのです。
老朽化したマンションを売ることはできる?
老朽化したマンションは、絶対に売れないというわけではありません。老朽化したマンションは売れるのか、売れる場合はどのようなケースなのかを紹介していきます。
結論:売りにくい
老朽化したマンションは売りづらいことを念頭に置きましょう。当たり前の話ではありますが、新 築・築浅のマンションと比較すると、老朽化したマンションの資産価値は低く、その分売りづらくなるのです。
見るからに老朽化したマンションは、管理の状態が悪いだけでなく管理組合の統率が取れていない証拠でもあります。 共用部の劣化や設備の機能的・性能的な後れは売却の際に大きく足を引っ張ることになり、結果的には売りづらくなります。
しかし、マンションの老朽化はマンションを売りにくくする要素の一つに過ぎないため、まったく売れないというわけではありません。
マンションの資産価値を決める大きな指標として、立地や専有面積等築年数以外の要素もあります。老朽化したからと言って、一概にすべてのマンションが売れないというわけではありませ ん。
一定の高齢者需要は存在する
老朽化したマンションでも、一定の高齢者需要はあります。高齢者は、退職や健康上の理由で住み替えをすることが多いです。2階建ての戸建ては高齢者が生活するには広すぎてしまい、2階部分を使わなくなってしまう・自宅が郊外にあるため生活するのに不便なケースも少なくありませ ん。
そのため、戸建てを処分して立地の良いマンションに住み替えをする、という高齢者が多く見られるようになりました。 現役世代と違い、高齢者はマンションの築年数を重視しない傾向も高く、多少老朽化していても 一定の需要が存在します。
不動産会社が買い取るケースもある
マンション市場は中古であっても資産価値が落ちづらく、特に良い立地のマンションであれば高く売却できます。
良い立地にあるマンションは、たとえ老朽化していたとしても高い需要があるた め、1室を買い上げてフルリノベーションすることで、築浅と変わらない値段で売却できるのです。 そのため、中古物件のリノベーションをして販売する不動産会社であれば、買い取ってくれるケー スも多いです。
老朽化したマンションの具体的な対策方法は?
● 大規模な修繕
● 解体後に土地を売却
老朽化していたとしても、対策することで資産価値を高めたり売却したりできます。具体的な対策方法として、上記の2つが挙げられます。
大規模な修繕
大規模な修繕は、老朽化したマンションの対策として最大限の有力な手段です。マンションは建築され、デベロッパーから分譲された時点で10年ほどのスパンで大規模修繕計画が立てられています。
安全上必要な修繕のため、その大規模修繕計画に沿って修繕がされていきます。しかし、新築時点での大規模修繕計画は30年ほどまでしか立てられないため、その後の修繕計画や予定外の故障・老朽化に関しては、マンションの管理組合で決定する必要があります。
大規模修繕を行う際には修繕積立金の資金繰りも重要なポイントとなるため、管理組合が活発かつ区分所有者全体が理解あるマンションかどうかで、修繕できるかどうかが変わります。
解体後に土地を売却
マンションの老朽化が激しい場合には、解体してしまって土地を売却するという手もあります。しかし、マンション1棟そのものを所有している場合には解体の決定・実行はスムーズにいくと言えますが、1室を分譲によって区分所有している場合にはそのようにはいきません。
区分所有法によって、解体・土地の売却の際にはマンションの区分所有者の4/5以上の同意を得る必要があります。また、解体に必要な費用もオーナーが出し合う形になるため、分譲マンションを区分所有している場合はあまり現実的ではありません。
マンション全体を所有しており、自分がオーナーとなって賃貸に出している場合は、費用は自己負担で解体することができますが、賃借人の理解を得る必要があります。
老朽化したマンションを売却する際に気をつけるべきこと
マンションの法定耐用年数は鉄筋コンクリート(RC)造で47年、平均寿命で68年ですが、適切なメンテナンスがされていれば100年以上もつと言われています。また、マンションは良い立地に建てられることが多いため、戸建てと比較すると資産価値が落ちづらい、というメリットもあります。
実際に、昨今の中古マンションの売却価格は高水準で推移しています。そのため、老朽化したマンションは解体するのではなく、売却する方が望ましいです。
マンション売却の際に気を付けたいポイントとしては、下記の通りです。
● 新耐震基準に適合している
● 法定耐用年数を超えていない
● 立地が良い
以上の点は、マンションの資産価値を決めるうえで重要な基準です。また、耐震基準や法定耐用年数は、購入者が住宅ローンを組む際に銀行が重視する点であるため、基準をクリアしていないと銀行が審査を通さず、売却しにくくなるのです。
まとめ
本記事では、老朽化したマンションのデメリットや売却の可否、対策方法・注意点について解説しました。
分譲マンションは管理組合や区分所有法のしがらみがあるため、戸建てと比較すると個人の意思決定ではどうにもならないことが多いです。しかし、定期的な大規模修繕によって建物の状態が維持されやすい点は、マンションの大きなメリットだと言えます。
また、マンションは資産価値を維持しやすく、老朽化していたとしても売却する道もあります。ぜひ本記事を参考にして、マンションの老朽化を懸念している方は修繕計画の見直しや売却を検討してみて下さい。