賃貸オーナーが抱えやすい【悩み】と失敗しやすいポイント
目次
はじめに
賃貸経営には、お金に関する悩みをはじめとしてさまざまな悩みがつきものです。 物件購入前に多くのオーナー様が抱く悩みを把握しておき、対策しておくことが重要です。
本記事では、賃貸オーナー様が抱えやすい悩みとその対策について解説します。 賃貸物件購入を迷っている方、オーナー独自の悩みと対策を知りたい方は、ぜひ本記事を参考にし てください。
賃貸オーナー様が抱えやすい悩みは?
● 空室の割合(空室率)が多い
● キャッシュフローが悪い
● 入居者トラブルが発生した
● 管理会社と満足のいくコミュニケーションが取れない
● 設備が故障して追加の費用がかかる
● 売却が思うように進まない
賃貸不動産オーナー様が陥りやすい悩みとして、上記のものが挙げられます。
空室の割合が多い
空室の割合が多いことは、賃貸物件オーナー様の一番の悩みの種でしょう。空室率が高いだけで利回りが狂ってしまい、収入に大きなダメージを与えます。
一般的に空室率の目安は5~20%とも言われており、賃貸物件のある地域や空室の期間によっ て目安が変動します。20%が目安と言われることもありますが、東京都内などの都市部だと20%は空室率が高いため、都市ごとの平均空室率をあらかじめ把握しておきましょう。
なお、空室率を求める際には、短期間ではなくある一定の期間で算出しましょう。瞬間的に空室率が高くなったとしても、すぐに入居者が入れば収益的にはあまり損をしていないことになりま す。年単位の空室率は、下記の計算式で求められます。
■年間の空室率=(空室数 × 空室期間)÷(全体の室数 × 365日)
年間の空室率が10%前後であれば、適切に賃貸経営できていると言えるでしょう。
キャッシュフローが悪い
キャッシュフローとは、その名の通りお金の流れのことです。賃貸経営におけるキャッシュフローは、下記の式で求められます。
■キャッシュフロー=家賃収入ー(経費+ローン返済+税金)
キャッシュフローは帳簿上のお金の流れとは異なります。
キャッシュフローが悪ければローン返済できないリスクを負うほか、想定外の経費支出にも対応できにくくなります。しかし、キャッシュフローが良い物件であれば、物件を売却する際も収益性が高いとみなされ、 好条件で売れる可能性が高くなるのです。
キャッシュフローが悪くなる兆候があった場合には、自己資金を用意して繰り上げ返済を行ったり、金利の見直しをする必要があります。
入居者トラブルが発生した
さまざまな入居者トラブルがありますが、いずれにせよオーナー様を悩ませるため、あらかじめ対策を講じておく必要があるでしょう。
● 家賃の滞納
● 騒音トラブル(足音・話し声など)
● 規約違反(ペットの飼育や第三者への転貸など)
● 部屋の使用におけるトラブル(ゴミ屋敷や共用部の破壊など)
入居者トラブルとして多いのは、上記のような例です。
管理会社に委託している際は、基本的に管理会社に対応してもらえます。しかし、長期に渡って程度の激しい状態が続いてしまったり、該当入居者と管理会社や他の住民が決裂してしまった場合には、空室率が上がりオーナー様の収益に影響が出る恐れもあるのです。
また、トラブルを起こす入居者をすぐに追い出すということも難しいため、警告を重ねて収まらない場合には、管理会社と相談のもと内容証明や訴訟に発展する可能性もあります。
管理会社と満足のいくコミュニケーションが取れない
管理会社とのスムーズな関係は、健全な賃貸経営において必要不可欠なものです。管理会社は物件の管理業務だけでなく、家賃の徴収や入居者募集など、非常に重要な役割を果たしています。
また、上記のような入居者トラブルの解決においても、管理会社に任せることで人間関係がこじれることなく解決したという例も多いです。 しかし、オーナー様と管理会社との連携が上手く取れない場合、空室率が上がってしまうおそれも出てきます。
管理会社とのコミュニケーションにおいて不満がある場合は、まず担当者を交代してもらいましょう。 担当者の交代でも改善しない場合には、管理会社の変更も視野に入れることをおすすめします。
設備が故障して追加の費用がかかる
設備にはおおむねの耐用年数がありますが、自然災害などで故障してしまう可能性があります。 保険で補修できれば問題ありませんが、オーナー様負担の設備の場合には痛い支出になります。
そのため、キャッシュフローを見直して突発的な出費に備えましょう。設備の修理に関しては、帳簿上は減価償却できる場合もあるため、減価償却の条件を見直して、適用になるかを確認することも重要 です。
売却が思うように進まない
● 売却の相場は適切か
● 新耐震基準か
● 複数の不動産会社に査定してもらう
● 必要に応じて修繕やリノベーションを行う
賃貸物件を売却する場合には、上記の点に注意しましょう。
売却の大きなネックとなるのは、売却の相場が適しているかどうかです。相場にそぐわない場合は、売却額を見直す必要があります。
また、1981年6月より前の旧耐震基準の不動産物件は、アパートローンの審査が通りづらいため売却しづらくなります。築古の賃貸物件は、リノベーションをすれば買い手がつきやすくなりますが、中古不動産をリノベーションして売り出すことを得意としている不動産会社もあるため、ま ずは見積もりを出してもらって検討しましょう。
賃貸オーナー様が失敗しやすいポイント
● 入居率のリサーチ不足
● 利回り設定
● 高額ローンを組んでしまう
上記に、賃貸オーナー様が失敗しやすいポイントをまとめました。
入居率のリサーチ不足
入居率は、家賃収入に大きな影響を与えます。入居率のリサーチが不足していると、長期間の間高い空室率に悩まされるおそれがあります。そのため、まずは入居率の高い管理会社に委託することが目標となります。
入居率に影響する要素としては、立地(沿線)・築年数が挙げられるため、自身の所有している不動産物件の属性を考慮したうえで、管理会社を決定しましょう。
管理会社によって得意な物件や沿線に違いがあるため、所有する物件と同じような物件を扱っているのか、その物件での過去の入居率はどの程度なのかを入念にリサーチする必要がありま す。
利回り設定
基本的な利回り(表面利回り)は、下記の式で求められます。
■(年間家賃収入÷物件価格)×100
また、税金などの支出を含めた利回り(実質利回り)は下記の式です。
■(年間の家賃収入ー年間の諸経費)÷(物件の購入価格+諸経費)×100
利回りの目安としては、表面利回りが5~7%、実質利回りが4~6%と言われることが多いです。 利回りは、すべての物件が一律の目安に当てはまるわけではなく、物件のある地域や築年数、 空室率などの要素に左右されることに注意しましょう。
一見表面利回りが良く見える場合でも、実質利回りにおいては悪い水準になっては収益が見込めません。
利回りについては、物件購入の段階で慎重に検討しましょう。
高額ローンを組んでしまう
賃貸物件を購入する際に高額なローンを組んでしまうと、予想外に空室率が高くなってしまったり、設備の故障などの緊急な支出があったりする場合に赤字になってしまう可能性があります。
一般的な居住用の住宅ローンと比較すると、賃貸物件のローンは厳しく審査される傾向にあるため、ローンの返済ができないほどにキャッシュフローが悪くなるということは考えづらいです。
しかし、いくら厳しい審査に通ったからと言ってその物件の安定した収益性が担保されるわけではありません。高額なローンを組む前の段階で、ある程度の自己資金を用意しておき返済額を減らす、キャッシュフローを見直して万が一の出費に備える等、余裕をもった返済計画を立てましょう。
賃貸オーナー様が悩みを回避するためには
● 空室割合をできる限り減らす
● 高い利回りを設定できるように工夫する
● 早期売却も視野に入れて運用する
賃貸経営は大きなお金が動く以上、想定できる悩みは回避したいものです。悩みなく賃貸経営をするためのポイントは、上記の通りです。
空室割合をできる限り減らす
空室率が高いことは、家賃収入に一番の大打撃を与えます。そのため、いかに空室率を抑えるかが賃貸経営成功の鍵となります。
空室率を抑えるためには、立地や築年数などの物件の要素はもちろんのこと、入居者募集をする管理会社の腕も重要です。管理会社を選定する際には、物件の管理業務だけではなく、空室対策や入居率も重視しましょう。
どうしても空室率が抑えられない場合には、管理会社のアドバイスを受けながら設備投資をするなどの対策をしましょう。
高い利回りを設定できるよう工夫する
高い利回りを実現するためには、ワンルーム等の単身向けの間取りで賃貸経営をすることです。 部屋数の多いファミリータイプの間取りよりも、ワンルームや1Kなどの単身者向けの間取りの方が賃料単価が高いのです。
空室率を抑えることができれば、高利回りでの賃貸経営が可能になります。
早期売却も視野に入れて運用する
もしキャッシュフローや利回りが思うようにいかない場合には、早期売却も視野に入れましょう。
特に賃貸経営1軒目の不動産に関しては、収益がプラスになっているかが非常に重要です。1軒目でマイナスになってしまうと、2軒目の審査が通りづらくなります。どんな投資にも共通して言えることですが、早めに見切りをつけることでその後の見通しが立てやすくなります。
まとめ
本記事では、不動産の賃貸経営におけるオーナー様の悩みやその解決策について解説しまし た。
賃貸経営は、他の投資と比較すると安定性に優れており、節税対策だけでなく老後の備えへと繋げていくことができます。賃貸経営のオーナー様が陥りがちな悩みは、物件を購入する前に対策を考えておきましょう。
本記事を参考にして、賃貸経営に役立ててください。